マイペース数学者のブログ

大阪在住数学者のブログです。どうしても、数学関連のことがメインになると思います。

やがて哀しき外国語

村上春樹の「やがて哀しき外国語」を読んだ。村上春樹の本は「ノルウェイの森」を呼んでとても気に入って、他の本もいくつか呼んでみたけど、いまいちふわふわした印象が残るだけで、あまり惹かれるものが無かったので、その後しばらく呼んでいなかった。

今回、この本を読んだのは、彼がアメリカのプリンストンに滞在中に書いたエッセイだったから。アメリカに長期滞在したいとは常々思っていて、この間、大学でプリンストンのIAS(高等科学研究所)のポスターを見かけて、プリンストンに是非行きたいと思うようになっていたのだ。数学研究の最高峰の研究所・大学で、世界中から集まった一流の数学者に囲まれて刺激を受けたい。

「やがて哀しき外国語」はリズム良く楽しく読むことが出来た。まあ、外国滞在エッセイは大体そうだろう。そして、多くの部分は自分の持っているアメリカ像・アメリカ人像を再確認するものであり、強い印象を残したものはそれほど多くなかった。それでも、2点印象に残ったことがある。

一つは、ジャズ喫茶をやめ専業作家になり、その後ジャズをしばらく聞かなかった理由について「そういう創りだす喜びを一度知ってしまうと、「ただ聴くだけ」ということを仕事にしているのがだんだん辛くなってくる」と言っていたところ。自分も数学研究で何かしらを創りだす仕事をしているので、凄く共感できる。

もう一つは、本のタイトルにもなっている「やがて哀しき外国語」というエッセイ。年を取り、残りの人生で出来る仕事を計算すると、新しい外国語を習得しようという気力がわいてこないということ。4,5人のアメリカ人の会話に加わると、会話の大筋を追うので精一杯で、数時間経つと疲れてしまい電池切れ状態になってしまうこと。など、僕も感じたり、経験したりすることなので、「確かに、確かに」ととても納得してしまった。

いずれにしても、プリンストンは数学者にとってあこがれの地なのです。