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マイペース数学者のブログ

大阪在住数学者のブログです。どうしても、数学関連のことがメインになると思います。

年明け。遅咲きの数学者について思う。

年が明け、今日は1月2日。Bures-sur-Yvetteの町は、肉屋とパン屋は開いているが、まだ人通りは少ない。研究所も静かだ。帰国まで、あと二ヶ月。来年度の準備に関する事務仕事(教科書選定、シラバス作成など)も増えてきて、帰国が迫っていることを実感させられる。研究だけに没頭できる至福の時間が終わる悲しさ半分、賑やかなキャンパスに戻れる楽しさ半分。引っ越しの荷物をどうやって送るかなども考え始めたところ。

ところで、最近、自分の研究がAlrecht Fröhlich(1916 - 2001)という数学者の仕事と少し関連しているらしいことが分かった。IHESに滞在していた数学者Ted Chinburgとの昼食時の議論で教えてもらった。(こういうことがあるのが、IHESのカフェテリアでのランチの醍醐味。)このFröhlich氏、なかなか面白い経歴の持ち主。ドイツで生まれ育ったユダヤ人で、ナチス支配下のドイツから逃れて、パレスチナで電気技師などをした後に、30歳近くでやっとイギリスの大学に入り、専門的な数学を勉強し始めた。この人の一番良い研究成果は、60歳近くになってなされた。

参考資料:
http://www-groups.dcs.st-and.ac.uk/~history/Biographies/Frohlich.html
http://rsbm.royalsocietypublishing.org/content/roybiogmem/51/149

世界大戦を経験した世代には、とかくこのような厳しい経験を積んだ数学者が多いが、それが研究への情熱に繋がるのかもしれない。自分の経歴の平凡さに比して、羨ましくも見えてくるが、時代が違うからしょうがない。(しかし、現代でも、一度他の仕事に就いてから、大学に戻り数学を勉強して、立派な数学者になる人は見渡せば結構いる。)しかし、無理矢理願望を込めてFröhlichの人生と自分のそれを重ねるとすると、自分は遅咲きの数学者だと信じているので、70歳ぐらいで最高の仕事をするはず(!?)。ちょうど長男が生まれることに始めた野生マッカイ対応の研究が今実りつつあるので、初孫が生まれることに始める研究が70歳ぐらいで花開くはずである。、、、という新年の祈願でした。