マイペース数学者のブログ

大阪在住数学者のブログです。どうしても、数学関連のことがメインになると思います。

クロネッカー代入

最近読んでいるBombieri-Gubler, Heights in Diophantine Geometryでクロネッカー代入(Kronecker substitution)という手法が出てきて、ちょっと面白いなと思ったので紹介します。この手法自体は、ディオファントス幾何とあまり関係ないと思う。

 

Kronecker substitution - Wikipedia, the free encyclopedia

 

ウィキペディアによると整数係数の多項式の変数に2の高い冪(べき)を代入して得られる整数を2進法表示すると、元の多項式の係数が現れる。従って、多項式の係数の計算などを整数の計算に帰着できるということらしい。たぶん、コンピューターによる計算の高速化が主な応用なので、2進法を使ってるけど、アイデア自体はn進法でも同じだと思う。10進法で説明すると、

 f(x) = 32 x^2 + 5 x + 11

という多項式 x = 10^3 = 1000を代入すると、

 f(10^3) = 32000000 + 5000 + 11 = 32005011

となり、 f(x)の係数 32, 5, 11が10進法表示に現れる。

 

Bombieri-Gublerに書いてあったのは似てるけど少し違って、多変数多項式を1変数多項式に帰着する方法。n変数の項式

 \displaystyle x_0 ^{a_0} \cdots x_{n-1}^{a_{n-1}}

 x_i = t^{m^{i}}を代入すると、

 \displaystyle t^{a_{n-1} m^{n-1}+ \cdots+ a_1 m + a_0 }

となる。もしmが全てのa_iより大きければ、tの右肩に乗っている指数はm進法表示でa_n a_{n-1} \dots a_0(積ではない!)となる。いまn変数項式に十分大きなmで同じ代入をすると1変数多項式で、元の多項式と項が1対1対応し、対応する項の係数が等しいものが得られる。

 

面白いけど、初めて知ったから、あんまり純粋数学では活用されてないだろうか?

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