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マイペース数学者のブログ

大阪在住数学者のブログです。どうしても、数学関連のことがメインになると思います。

Lang vs. Mordell-Siegel

数学
来年度の大学院生向けの講義の内容を考えるために、文献を検索していたら面白い記事を見つけた。

S. Lang, "Mordell’s review, Siegel’s letter to Mordell, diophantine geometry, and 20th century mathematics"

今日初めてこれを見たけど、数論では有名だったんだろうか。Langの本「Diophantine Geometry」に対するMordellの批判的なレビュー、そしてSiegelのそれに同調するMordellへの手紙に対する、Langの公開反論。この記事のzbMathにある二つのレビュー
https://zbmath.org/?q=an:00880586
https://zbmath.org/?q=an:00753213
にあるように、三人とも大人げない印象。しかし、次の文は印象に残ったので引用しておく。

Neither Vojta, Bombieri nor Faltings has shown that he is troubled about using Riemann-Roch theorems, and major breakthroughs have thus been made by expanding the perspectives on old problems, rather than by narrowing the viewpoint to "simpler cases".

MordellやSiegelはLangが不必要な一般化をして簡単な問題を複雑にしているという趣旨の批判をしていて、それに対してLangはHirzebruchやGrothendieckなどによるRiemann-Roch定理の大幅な一般化(Siegelはこれらにも批判的だった模様)を用いたVojta, Bombieri, Faltings達の大きな成果を挙げ、大幅に一般化、抽象化する数学研究の傾向を擁護している。

 確かに、大定理の解決はしばしば、とことん理論を、ときには定理自体を一般化することで解けることがある。一方で、簡単な場合を深く理解することで、新しい研究の方向性が生まれたり、証明に方針が見えてきたりすることもあるので、結局は数学者の好みやスタイルの違いなのでは、と思う。いろんなスタイルの数学者がいるから、面白いんじゃないカネ?明日、元ネタのMordellのレビューをチェックしよう。


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